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高森明勅
2020.1.17 06:00皇統問題

信頼と強制

元最高裁判事で皇室法の第一人者の園部逸夫氏。
これまで『皇室法概論』『皇室制度を考える』などの著書がある。
この度、新しく『皇室法入門』(ちくま新書)を刊行された。
法的領域に限らず、皇室に関心を持つ人なら先ず読んでおくべき
基本文献だろう。

その一節。

 

「皇室の諸制度は…制度化が困難な点もあり、細部は運用に委ねられるなど
制度として不安定な面を持つことも否定できない。
しかし他方で現行制度制定以来これまで皇室の諸制度が大きな問題もなく
維持されてきたことも事実である。
このように制度が順調に維持されてきたことの根本には、皇室制度が皇室と
国民との信頼関係を前提として定められ、かつその前提が持続していることに
あると私は受け止めているが、このことは皇室制度の大事な特色であると
考えているところである。

皇室と国民との信頼関係の基本は次の点にあると考えている。
すなわち、①国民が、皇室制度は国家にとって必要であり、また、大切な
制度であるということをよく理解した上で、そうした制度を担われている皇室に
感謝し敬愛の気持ちを持つこと②皇室が、国民の皇室に対する期待や希望を
受け止め、それらに対して様々な形でお応えになることであり、
皇室と国民とが共に歩んでいくということが重要であると考えている。
もちろんこうした信頼関係の基本にある双方の在り方は強制されるような
ものであってはならず、むしろ強制されるような状況は信頼が危うい状況
であり、強制されずに維持されることが皇室制度安定の基礎であると言えよう」
傾聴すべき指摘だ。

【高森明勅公式サイト】
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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